コラム

チアノーゼとは?観察のポイントと緊急性の判断

チアノーゼとは?観察のポイントと緊急性の判断

チアノーゼとは、皮膚や口唇、爪床などが青紫色に見える状態です。血液の酸素化が低下している場合や、末梢の血流が悪くなっている場合にみられることがあります。

訪問時に利用者さんの口唇や手指が「いつもより青い」と感じた場合は、チアノーゼがみられる部位に加えて、呼吸状態、SpO₂、脈拍、血圧、意識状態、普段との違いなどを総合的に確認することが重要です。

この記事では、チアノーゼの原因や中心性・末梢性の違いを整理したうえで、訪問時の観察ポイント、緊急性を判断する際の考え方、主治医へ報告する内容について解説します。

チアノーゼとは

チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青色から青紫色、灰色がかった色に見える状態です。日本小児循環器学会雑誌の総説「チアノーゼについて」では、毛細血管内血液の還元ヘモグロビン濃度が5g/dL以上になると出現するとされています。血液の酸素化が低下している場合などにみられ、口唇、舌、爪床、手足などで気づかれます。まれに、メトヘモグロビン血症などの異常ヘモグロビン血症が原因となることもあります。

血液は、酸素を多く含んでいると鮮やかな赤色に近く見えます。一方、酸素が少なくなると暗い赤色に近くなり、皮膚や粘膜を通して青紫色に見えることがあります。

ただし、皮膚の色だけで酸素状態を正確に判断することはできません。一酸化炭素中毒や高度の貧血では、低酸素血症があってもチアノーゼがみられないことがあります。照明、皮膚の色、体温、末梢の血流、貧血の有無などによって見え方が変わるため、呼吸状態や意識状態、SpO₂などもあわせて確認することが大切です。

チアノーゼの主な所見とあわせてみられる症状

チアノーゼでは、皮膚や粘膜が青色から青紫色に見えます。特に、口唇、口腔粘膜、指先、爪床などは色調の変化に気づきやすい部位です。

訪問時には、次のような色調変化がないか確認します。

  • 口唇が青紫色に見える
  • 舌や口腔粘膜が青紫色に見える
  • 指先や爪床が青紫色に見える
  • 手足の末端が青白い、または青紫色に見える

呼吸器や循環器の状態が悪化している場合には、チアノーゼとともに呼吸困難や頻呼吸、頻脈、意識状態の変化などがみられることがあります。

そのため、訪問時にチアノーゼを認めた場合は、次のような変化もあわせて確認します。

  • 息苦しさがある
  • 呼吸が速い、または普段と呼吸のしかたが異なる
  • 会話時に息切れがある
  • 脈拍が普段より速い
  • SpO₂が普段より低下している
  • 意識レベルが低下している
  • 胸痛などの症状を伴っている

特に、口唇や舌、口腔粘膜に急な色調変化がみられ、強い呼吸困難や意識状態の変化などを伴う場合は、緊急性が高い可能性があります。チアノーゼの有無だけで判断せず、SpO₂、呼吸数、脈拍、血圧、意識状態、普段との違いなどを総合的に確認し、利用者さんの状態に応じて主治医への連絡や救急要請を検討します。

中心性チアノーゼと末梢性チアノーゼ

チアノーゼは、大きく「中心性チアノーゼ」と「末梢性チアノーゼ」に分けて考えることがあります。

中心性チアノーゼ

中心性チアノーゼは、動脈血の酸素化が低下することで生じ、口唇や舌、口腔粘膜などに青紫色の変化がみられます。

呼吸機能の低下や右左シャントを伴う心疾患などが原因となることがあり、肺炎、喘息発作、慢性閉塞性肺疾患の増悪、先天性心疾患などでみられる場合があります。

末梢性チアノーゼ

末梢性チアノーゼは、手足の先や爪床など、体の末端が青紫色に見える状態です。典型的な末梢性チアノーゼでは、動脈血酸素飽和度の低下を伴わず、寒さや末梢血管の収縮、心拍出量の低下による末梢循環血流量の減少、血液粘稠度(ねんちゅうど)の上昇などで、末梢の血流が滞ることによって起こります。

寒さが影響している場合は、温めることで改善することがあります。ただし、心不全やショックなど全身の循環が低下している場合にも末梢性チアノーゼはみられます。息苦しさが強い、意識状態が悪い、急に口唇や舌が青紫色になった場合などは、救急要請を含めて速やかな対応を検討します。

チアノーゼの原因

チアノーゼの原因は、肺で酸素を取り込む力の低下、心臓が血液を全身へ送る力の低下、末梢の血流低下など、さまざまです。

主な原因には、以下のようなものがあります。

  • 呼吸器に関連するもの:重症肺炎、重症喘息、気道異物など
  • 心・循環に関連するもの:心不全、右左シャントを伴う心疾患、ショックなど
  • 末梢循環に関連するもの:寒冷曝露、レイノー現象、動脈閉塞など
  • 血液に関連するもの:メトヘモグロビン血症など

在宅療養中の利用者さんでは、呼吸器疾患や心疾患などが背景にある場合があります。チアノーゼが急に出現した場合は、背景疾患の推測だけにとらわれず、気道・呼吸・循環に急変がないかを優先して確認します。

乳幼児や高齢者の注意点

乳幼児では、寒冷によって手足の末端が一時的に青紫色に見えることがあります。一方、口唇や舌、体幹まで青紫色に見える場合は中心性チアノーゼの可能性があるため、呼吸状態やSpO₂、全身状態を確認し、速やかに医師へ相談します。

高齢者では、基礎疾患や認知機能の影響などにより、呼吸困難などの典型的な症状が目立たないことがあります。特に肺炎などの感染症では、食欲低下や活動性の低下、意識・反応の変化など、非特異的な症状がみられることがあります。

訪問看護では、「いつもの色と違う」「いつもより呼吸が浅い」「会話中に息切れする」など、普段との違いを見逃さないことが大切です。

訪問看護での観察ポイント

訪問時にチアノーゼを疑う色調変化を認めた場合は、チアノーゼの有無だけでなく、全身状態をあわせて観察します。

① 色調と出現部位

  • 口唇・舌・口腔粘膜
  • 手指・足趾・爪床
  • 色調変化が始まった時期
  • 普段との違い
  • 持続しているか、変化しているか

② 呼吸

  • 呼吸数
  • 呼吸の深さ・パターン
  • 息苦しさ
  • 会話時の息切れ
  • 咳・痰
  • SpO₂

③ 循環

  • 脈拍
  • 血圧
  • 手足の冷感
  • 胸痛・動悸など
  • 浮腫など

④ 全身状態

  • 意識状態
  • 体温
  • 食事・水分摂取量
  • ADLや普段との違い

⑤ 治療状況

  • 酸素療法の有無
  • 酸素機器・チューブの状態
  • 医師からの指示内容

SpO₂を測る場合は、手指の冷え、マニキュア、体動、末梢循環の低下などで正確に測れないことがあります。値だけで判断せず、呼吸状態や顔色、意識状態もあわせて確認しましょう。

記録する場合は、以下のように具体的に書くと共有しやすくなります。

「訪問時、口唇に軽度の青紫色あり。SpO₂ 90〜92%で推移。呼吸数24回/分。会話時に息切れあり。発熱なし。普段はSpO₂ 95%前後。」

「両手指にチアノーゼ様の色調あり。手指冷感あり。口唇色は普段と大きな変化なし。温罨法後、手指色は改善傾向。SpO₂ 96%。」

このように、色の変化とその部位、呼吸状態、SpO₂、普段との差をセットで記録することが大切です。

緊急性のアセスメントと対応

チアノーゼを認めたときは、色調だけではなく、気道・呼吸・循環・意識状態を確認し、緊急性をアセスメントします。

特に注意したいのは、次のような状態です。

  • 急に口唇や舌が青紫色になった
  • 息苦しさがある
  • 呼吸が速い、または浅い
  • 発熱がある
  • SpO₂が普段より低い
  • 意識状態が変化している
  • 呼びかけへの反応が弱い
  • 胸痛を伴っている
  • 強い動悸がある
  • 顔色が悪い
  • 乳幼児で哺乳が悪い
  • 酸素投与中でも状態が改善しない

これらの所見がある場合は、利用者さんの状態に応じて主治医への連絡や救急要請など、速やかな対応を検討します。

一方、寒さで手足の先だけが青紫色になり、温めると改善する場合もあります。ただし、繰り返す場合や、痛み、しびれ、皮膚の変色が続く場合は、血流の問題が隠れていることもあるため、医師へ相談しましょう。

医師へ報告するときの内容

チアノーゼがある場合は、色の変化だけでなく、呼吸や循環の状態を整理して報告します。

報告時には、以下の内容をまとめます。

  • いつからチアノーゼがあるか
  • どの部位が青紫色に見えるか
  • 口唇や舌の色の変化
  • SpO₂の値と普段の値
  • 呼吸数
  • 脈拍
  • 血圧
  • 体温
  • 意識状態
  • 息苦しさの有無
  • 胸痛の有無
  • 咳や痰の状態
  • 酸素療法の有無
  • 体位変換や安静による改善の有無
  • 既往歴
  • 服薬状況

報告例としては、以下のように整理できます。

「本日10時ごろから口唇にチアノーゼを認めています。SpO₂は90〜92%で、普段は96〜98%です。呼吸数28回/分、脈拍110回/分、会話時の息切れと痰の増加があります。体温37.8℃です。現在安静を保ち観察しています。受診・酸素投与などについて指示をお願いします。」 このように、普段の値との差、呼吸状態、全身状態を具体的に伝えることで、医師が緊急性を判断しやすくなります。

日常管理で確認しておきたいこと

チアノーゼは病名ではなく、呼吸・循環などの状態変化に伴ってみられる徴候です。

日常ケアでは、以下を確認しておきます。

  • 普段のSpO₂
  • 普段の呼吸数
  • 在宅酸素療法(HOT)の設定・医師の指示
  • 急変時の連絡先
  • どの状態で主治医へ連絡するか
  • どの状態で救急要請するか

呼吸器疾患や心疾患がある利用者さんでは、SpO₂だけでなく、呼吸状態、浮腫、体重変化、痰の量、発熱、活動性などの変化も継続して確認します。

「普段の状態」を把握しておくことで、訪問時の小さな変化にも気づきやすくなります。

まとめ

皮膚や口唇、爪床が青紫色に見えるときは、血液の酸素化低下や末梢の血流低下などが背景にあることがあります。

手足の先だけが青紫色で、温めると改善する場合もありますが、口唇や舌が青紫色になる、息苦しさがある、SpO₂が低い、意識がぼんやりしている場合は注意が必要です。

訪問看護では、チアノーゼの有無だけでなく、呼吸数、SpO₂、脈拍、血圧、意識状態、普段との差をあわせて観察します。利用者さんの状態に応じて、主治医への連絡や救急要請を含めた速やかな対応を検討しましょう。


監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者
HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。

【参考文献】

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